エンタメパレス

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『極地謎情』 アンソニー・ウォンの舞台を見た!

2023年9月6日 香港演芸学院にて観賞

主演アンソニー・ウォン(黄秋生)、遊學修主演

 

 ある日、香港の某チケットサイトから、アンソニー・ウォン主演の舞台のチケットが発売されるよ!というお知らせメールが来ました。

 いつこのサイトに登録したのか記憶はなかったけど、生アンソニー見たい!と思って、発売日に速攻でネットで買ったら、前から6列目の中央の席が取れました。

 やった! 香港行くぞ! という訳で9月、香港へ。

 

 劇のタイトルは『極地謎情』。 

 エリック=エマニュエル・シュミットの戯曲『謎の変奏曲』で、日本でも何度か舞台で演じられているようでした。二人芝居です。

 私は何の予備知識もなく行ったのですが、逆に予想不可能な展開にドキドキワクワクできてよかったと思います。

 さて当日。会場は香港演芸学院のホール。開演は午後8時ということで、7時過ぎに湾仔の駅に到着し、そこから海の方へ向かって歩きます。もうすっかり夜で暗く、海の方へ行く道は人通りが少なくてかなり不安。でも会場に着くと大勢のお客さんがいました。ホッ。

 しかし開場時間になってもホールのドアは閉まったままで、並んで待つ私たちはざわざわ。15分遅れくらいで開場。場内はほぼ満席!みんな生アンソニーを楽しみにしているのが分かりました。

上演前にポップの写真を撮影。上演後は記念撮影する人で溢れていました。

 そしてお芝居は…、いやあ面白かったです。

 ほとんどしゃべりっぱなしの濃密な2時間。得体の知れない冒頭の銃声から始まって、徐々に明かされていく2人の関係。張り詰めた緊張感の中、二転三転するスリリングな展開。息詰まる心理戦で、一方が優位かと思えば、とたんに相手の方が上に立ったり、それがまたすぐ逆転したり。

 とにかく相手の心理に切り込む2人の言葉の攻撃の応酬がすごかった。そしてそんなヒリヒリした緊張とスリルの中、物語はクライマックスへ…。

 面白かったです!

 とにかくアンソニーが素晴らしくて。絶妙の間。言い回し。ちょっとしたしぐさや視線。彼の一挙一動で緊張の中にも笑いが起こり、拍手が起こる。

 笑っていると、一転ゾッとさせられる。これはアドリブ? と思うような箇所もたくさん。つくづく俳優・黄秋生の力量とあふれる才能、奥深さを感じました。

 この人はすごい役者さんだ。本当の名優だ。本当に心から、しみじみそう思いました。そしてやっぱり、メチャかっこいいです。立ち姿が絵になる!

 お芝居が終わってカーテンコールに笑顔で登場してくれたアンソニーと遊學修さん。芝居についていろいろ語ってくれました。

 アンソニーが若手の遊さんを褒め称えていたのが印象的。大満足の観客もみんな大きな拍手を贈りました。遊さんがアドリブで、たぶん観客からの手紙?か何かという設定で、白紙を手に即興で創作して語ってくれた…と思います(すみません、あまり分かっておらず)。

 全編広東語で字幕なし。今ここにいる人たちはみんな広東語ネイティブか…と思うと嬉しかったです。

 字幕なしなのでもちろん私も分からない所は多々あり。特にギャグの落ちはよく分からず残念! でも生のお芝居のパワーはしっかり伝わりました。

 アンソニーの生の舞台、見られて本当に幸せでした!またあったらぜひ見に行きたいと思います。

こちらは『極地謎情』のパンフです。



 追記:ホールの壁に、歴代のお芝居のタイトルが。もちろん「南海十三郎」も。見たかったなあ。。。再演してくれませんか、謝君豪さま。

この劇場で上演された作品が並ぶ。上演日も書かれていました。

アンソニー生舞台には関係ないですが、上演前に腹ごしらえ。

これも関係ないですが、古天楽の広告が!(^^)! MTR駅構内。

持有淑子(もちありとしこ)フリーライター/翻訳
香港が好きで、返還前・返還後の両方で在住経験あり。香港をはじめ中華圏の映画・ドラマ、欧米の映画・ドラマ、観劇も好き。共著『香港電影城』シリーズ。今は「慶余年2」を心待ちにしています。