エンタメパレス

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タイ大使館で開催、BLスターも登場のエンタメ・ビジネス交流会!

 東京・目黒にあるタイ王国大使館にて2024年10月29日、タイのBL(ボーイズラブ)およびGL(ガールズラブ)コンテンツの制作会社や配給会社10社が自社の紹介プレゼンテーションを行い、日本の企業とのマッチングを図る「THE ODYSSEY OF THAILAND’S Boy’s Love (BL) and Girl’s Love (GL) Contents」が開催され取材してきました。


 このイベントは、日本の配給会社、配信会社、メディアなどに向けて、それぞれ各社の特色や制作した作品から新作などをプレゼンテーションする場。それによって日本での更なるビジネスパートナーを獲得し、コンテンツの輸出拡大。俳優や歌手たちの日本での活躍の場の開拓を目指します。

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 登壇したポーニッチ・シラオン国際貿易促進局次長によると「タイ国内のBLコンテンツの収益は40億円、日本からの収益は14億円と、海外では特に日本市場のマーケットの大きさが際立っています」とのこと。なんと3分の1以上を日本が占めているとなれば、今回のプレゼンテーションにも力が入るのも納得です。

 タイのドラマが日本でここまで大人気になったきっかけはBLドラマ『2gether』(20)でした。コロナ禍で外出を控えざるえなかったとき、たまたま配信を観た女子たちがその面白さに目覚め、口コミで人気が拡大していきました。さらに映画版『2gether THE MOVIE 』(21)まで登場して大話題に。なんと映画化はドラマで沼に落ちた某映画配給会社の女子達(とはいえ映画制作チームではなく別部署)が率先して実現させた作品なのです。

 ちなみに韓流のきっかけも口コミ、NHKに視聴者が「韓国ドラマが面白いので放送してください」と投書したことから『冬のソナタ』がスタートし一大ブームとなったのです。韓国ドラマがすっかり定着し、次なるブームはやっぱり中国かと思われていた業界の予想を鮮やかに裏切って、新たな大ブームを巻き起こした “泰流”もファンの愛のパワーで広がっていきました。

 以後、BLに限らず数多くの映画やドラマが日本のテレビ放送や配信で見られるようになり、超能力を持つ学生たちの戦いを描くサスペンス『The Gifted』(18)シリーズ、タイ版『花より男子』の『F4 Thailand/BOYS OVER FLOWERS』(21)などが話題を集めました。


 今回、プレゼンテーションに参加したのは、「タイ公共放送」から「GMMTV 」「ワガ・クリエイティブ」「カンタナ・モーション・ピクチャーズ」など10社。

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 とりわけ日本でのBLドラマブームの火付け役となった『2gether』を生み出した「GMMTV 」は、泰流ファンにもつとに有名。そのCEOであり、テレビ朝日との提携も手がけたサターポーン・パニッラクサーポン氏が登壇。これまでの同社の躍進ぶりをはじめ、あの『おっさんずラブ』のリメイク版『Ossan’s Love Thailand(仮題)』など今後のラインナップをプロモーション映像で紹介しました。

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 個人的には「メディアブレックス・インターナショナル」の男性の「人魚」が主役という異色設定のBL『Lover Merman』に惹かれました。プロモーション映像での水中のマーメイドが幻想的!

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 各社のプレゼントテーションの後は、タイの俳優たちが歌のパフォーマンスで魅力をアピール。

最初に登場したのは、Flute  Chinnaphatさん、力強い歌唱で会場を盛り上げました。

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 続いて登場したJudo Tantachjさん(ブルーのジャケット)とFluke  Natouchさんは、まるでBLドラマのシーンを再現するようなデュエットで楽しませてくれました。

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 唯一の女性の出演者だったMay Yadaさん、Fay Kanyaphatさんは清楚さと華やかさを振り撒いていました。

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 出演者のなかでタイでいちばん人気のSaint  Suppapongさん(黒×白柄のジャケット)とPoom Nattapasさんは笑顔で素敵なボーカルを聴かせてくれました。

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David Matthewはソロで切ないナンバーを披露。

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 トリを飾ったのはEarth  Teerapatさん。バラードの熱唱でステージは終了しました。

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 その後のカクテル・パーティーには俳優たちも出席し、タイフードを味わいながら参加者の交流が行われました。

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 今回のイベントは韓国ドラマから韓流、K-POPが日本に根付いたように、BLドラマをきっかけに泰流やT-POPが加速する後押しを大使館自ら先導しているところに官民一体となった熱いパワーを感じました。

 翌日、開催されたTIFFCOM(アジアを代表するコンテンツマーケット)でも、タイのセミナーが開催されたこともあり、このイベントはその前夜祭ともいえるイベントでした。


「THE ODYSSEY OF THAILAND’S Boy’s Love (BL) and Girl’s Love (GL) Contents」 

主催:タイ国大使館商務参事官事務所


村上淳子(むらかみあつこ)

映画ジャーナリスト/海外ドラマ評論家

雑誌『anan』のライターとして活動後、海外ドラマ、映画を得意分野に雑誌やWEBサイトに寄稿。著書に『海外ドラマ裏ネタ缶』(小学館)『韓流マニア缶』(マガジンハウス)『韓流あるある』(幻冬舎エデュケーション)ほか。共著に「香港電影城」(小学館)シリーズほか。