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映画『ボーン・トゥ・フライ』は『陳情令』のワン・イーボーが挑む中国版『トップガン』!!

 まさに中国版『トップガン」ともいえる本作は、新世代戦闘機開発に挑むテストパイロットたちの情熱と友情、絆を描いたスカイアクションです。

 中国公開時には3日間でなんと興収40億円を突破し、初週の興収ランキング第1位。その後もロングランヒットを飛ばし、世界興収177億円を叩き出しました。

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 主役のテストパイロットを演じるのは映画『無名』で名優トニー・レオンとW主演で凛としたクールなカッコ良さを見せたワン・イーボー。単独初主演の本作では熱血青年に扮し、喜怒哀楽の全ての表情を真実味たっぷりに見せてくれます。

 『無名』ではスーツをダンディに着こなしスパイを演じたイーボーが、今作では軍服や飛行服を着用し、きりりと敬礼する姿も眼福。

 ワン・イーボー演じるレイ・ユーは、空軍の優秀なパイロットでしたが、訓練中にトラブルを起こし能力を活かしきれずにいた。そんな時、戦闘機のテストパイロットチーム隊長のチャン・ティン(フー・ジュン)が彼の才能に気づきチームにスカウト。
レイは厳正な選考を経て、ドン・ファン(ユー・シー)を始めとする優秀な飛行士6人とともに、テストパイロットに選ばれます。
彼らは、新世代ステルス戦闘機のテスト飛行任務に就くが、何度も繰り返される厳しいテストは、想像を絶する程に過酷でした。
思うように成果を出せずに苛立つレイは、難関なミッションを乗り越え、最高レベルの技術が結集して開発された戦闘機の飛行に成功するのか…。

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 これまで一般の人がなかなか知り得ないテストパイロットという存在に光を当て、死と隣り合わせの過酷さまでリアルに描かれたストーリーです。

 それだけに撮影には相当な苦労があったのではないかと推察できます。とにかくスカイアクションが凄まじい。イーボー演じるレイが教官とテスト飛行中に突然エンジンが停止、警告音が鳴り響く中、機体は反転した状態で上空から真っ逆さまー。

 そんな手に汗握りっぱなしの大迫力&緊迫の飛行シーンは目が回りそうな迫力!過去に空軍の戦闘機の映像等を手掛けた経験を持つ監督のリウ・シャオシーだからこそ撮れた場面だといえます。本作は国威発揚の要素がなきにしもあらずで、ハリウッドに追いつけ追い越せのチャイナパワーをひしひし体感できます。

 しかし大迫力のシーンだけでなく、主人公レイ・ユーの背景、人間ドラマがきちんと描かれているところが良き。

 両親との関係、挫折、怪我、葛藤、仲間との絆、ほのぼのした恋心、上官との別れなどさまざまな体験を経て主人公が成長していく姿が見どころのひとつでもあるのです。

 なんとしてもテストパイロットになるという熱量を込めた強烈な演技も圧巻でしたが、秘めた恋心を抱くナイーブな表情、死に向き合う悲痛な心理も見事に表現して、イーボーの俳優としての力量が格段に上がったことを感じさせます。

 それにしてもイーボーはブレイクのきっかけとなった人気ドラマ『陳情令』以降、もちろん本人の魅力に加えてたゆまぬ努力があってのことですが、秀作でやりがいのある役を引き寄せる「引力」にも秀でていると思わずにはいられません。


◇作品情報
『ボーン・トゥ・フライ』
2024年6月28日(金)より TOHOシネマズ日比谷ほか 全国公開 配給:ツイン
監督・脚本:リウ・シャオシー
出演:ワン・イーボー、ユー・シー、チョウ・ドンユィ、フー・ジュン

2023/中国/北京語/カラー/シネスコ/5.1ch/128分/原題:長空之王/日本語字幕:河合彩子/字幕監修:浪江俊明
公式サイト

https://borntofly.jp/

©2023 Shanghai PMF Pictures Co., Ltd. & Mr. Liu Xiaoshi

 

村上淳子(むらかみあつこ)
映画ジャーナリスト/海外ドラマ評論家
雑誌『anan』のライターとして活動後、海外ドラマ、映画を得意分野に雑誌やWEBサイトに寄稿。著書に『海外ドラマ裏ネタ缶』(小学館)『韓流マニア缶』(マガジンハウス)『韓流あるある』(幻冬舎エデュケーション)ほか。共著に「香港電影城」(小学館)シリーズほか。