ビートルズやクイーンなど多くのアーティストに多大な影響を与え、“キング・オブ・ロックンロール”と称されるエルビス・プレスリー。彼の歌手としての実力、派手なパォーマンスを知っていても、その元妻との関係を知る人は少ないのではないでしょうか。
本作は元妻プリシラ・プレスリーが、1985年に出版した回想録『私のエルヴィス(Elvis and Me)』を基にした作品です。物語は1959年当時まだ14歳だったプリシラが、父の赴任先の西ドイツで、すでにスターだった10歳年上のエルヴィスと出会うところからスタート。一人娘リサ・マリーをもうけたのち、1970年代はじめに破局するまでが描かれます。
14歳のときに世界が憧れるスーパースターのエルヴィス・プレスリーと出会い、恋に落ちる。やがて、両親の大反対を押し切ってエルヴィスと大豪邸で一緒に暮らし始める。これまで経験したことのない華やかで魅惑的な世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼のそばでともに過ごし彼に従順でいることが幸せだった。しかし、しだいに孤独を感じ、エルヴィスの浮気話に戸惑い、2人の間の溝は次第に深くなる。彼の色に染まっていくことが幸せだったプリシラは、いつしか「自分の人生を歩みたい」という自分自身の気持ちに気づいていく…。
ハイスクールに通う女子学生が、スーパースターからプロポーズされて結婚、出産。しかし、シンデレラストーリーの蜜月のその後は、波瀾万丈、葛藤の日々が待っていた。その裏側を描きます。
監督を務めるのはソフィア・コッポラ。『ロスト・イン・トランスレーション』や『マリー・アントワネット』などおしゃれな世界観作りに定評があるだけに、本作でもプリシラの衣装はシャネル(CHANEL)やヴァレンティノ(VALENTINO)が手掛けファッション誌から抜け出したような60〜70年代モードで楽しませてくれます。
プリシラの人生はまるでジェットコースター。いくらでもドラマテックに演出できるはずですがあえてドロドロさせず、プリシラの視点で描くことで観る者に訴えかける描写になっているのです。
主人公のプリシラを演じたのはケイリー・スピーニー。SFアクション大作『パシフィック・リム:アップライジング』の主演に抜擢されて以降、注目を集めるケイリーは、本作で表情豊かに繊細にプリシラの人生の異なるステージを演じ分け、昨年のベネチア国際映画祭では最優秀女優賞を受賞しました。
エルビス役には「Saltburn」「キスから始まるものがたり」のジェイコブ・エロルディ。大柄なエルヴィスを演じる役作りのため、エルヴィスが大好きだったベーコンを1日1ポンド(約450グラム)食べ続け、過去最高に体重を増やして取り組んだ熱演も話題に。
14歳の女学生と24歳の大スターの極めて特別な物語のようでいて、普遍的な男女の恋愛、結婚と重なるところも多々ある本作に、女性は心を揺さぶらずにはいられません。
※作品情報
映画『プリシラ』
公開日:2024年4月12日(金)より TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
公式HP
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
出演:ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ
配給:ギャガ
PG12PRISCILLA/2023/113分/アメリカ・イタリア/ビスタ/5.1chデジタル/字幕翻訳:アンゼたかし
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