2016年の香港映画の名作が10年の時を経て、ついに日本公開! 以前、映画祭等で上映されたことはありますが、今回、晴れて正式公開に。大好きなスポーツ胸アツ青春映画です。
ストーリーは低レベル中学(香港の中学は6年間なので、登場人物たちは日本の高校生の年齢に当たると思います)の校長が落ちこぼれ生徒たちを野球で引っ張っていくという話で、実話に基づいています。校長を演じるのは今は亡き名優、リウ・カイチーさん。名演技に泣けます!

推しポイントはたくさんありますが、まずは現在、香港芸能界で活躍するスターが数多く、当時の新人として出演していること。主役の1人、ワイを演じるのは「トワイライト・ウォリアーズ」でブレイクしたトニー・ウー。もう1人の主役、ロンを演じるのはラム・イウセン。彼は例外的に本作の撮影時、すでにキャリアを積んだ俳優さんで、最近でも「スタントマン/武替道」に出ていましたね。いつもワイの陰に隠れるコンプレックスの強いロンを繊細に演じています。
さらにヒロインのヘドウィグ・タムは、近作「母性のモンタージュ/虎毒不」で素晴らしい演技を見せ、香港電影評論学会大奨で主演女優賞に輝いています。
チームメイト役のウィル・オーも今一番注目の若手俳優です。友人の映画ライター柚木浩さんも彼を絶賛。
「先日見た台湾映画『霧のごとく』は白色テロで兄を亡くした少女が兄の死体を引き取りに台北に向かうストーリーですが、悪人に売り飛ばされそうになる少女を助ける人力車=自転車運転手を演じて、若き日のチョウ・ユンファばりの生気溢れる男性像をエネルギッシュに演じて見事でした」と話していました。
ほかにも「旅立ちのラストダンス」のカーキ・サム、「プロセキューター」のロッカー・ラムなど、彼らの10年前のみずみずしい姿が見られます!

もう1つの注目ポイント、これは1980年代の香港を描いた映画ですが、公営団地の描写に当時の香港の空気感がとてもよく出ていると思いました。また、懐かしの沙田ヤオハンが出てきたり、曽蔭権の果たした役割に「そうだったのか」と感じ入ったり。
スポーツと言えばサッカーという当時の香港ではマイナースポーツである野球にかけた青春、そしてチームワークがまぶしいです。「贏就一齊贏、輸就一齊輸!(勝つ時も負ける時も一緒!)」の名台詞も。
全編を通して十代の友情、喜び、挫折、劣等感、恋、などが詰まっていて、懐かしくも切なく、そして見たあと勇気をもらえること間違いなしです。
なお、公式アカウントのXの投稿によると、本編上映後に香港公開10周年を記念した、監督とキャスト6人による同窓会映像があるとのことです。ますます楽しみ!
◇ストーリー
1984年、中国返還前の香港。郊外のニュータウン、沙田(シャーティン)で、香港初の青少年野球チーム「沙燕(サーイン)隊」が結成される。野球がメジャーなスポーツではない香港で、野球未経験の少年たちは新聞紙を丸めたボールで練習を始めるが、最初の試合では台湾の小学生チームに大惨敗。それでも厳格ながら生徒思いのロー校長(リウ・カイチー)に導かれ、内向的なロン(ラム・イウセン)と衝動的だが義理堅いワイ(トニー・ウー)の幼馴染コンビを中心に、チームのメンバーは少しずつ成長していく。やがて迎えた宿敵・日本バッファローズとの最終決戦は、彼ら自身の「これまで」と「これから」を問い直す舞台となる―。
◇作品情報
「最初の半歩」
2026年8月21日より シネマート新宿ほか全国順次公開
監督・脚本 スティーヴ・チャン
出演
リウ・カイチー
ラム・イウセン
トニー・ウー
ヘドウィグ・タム
ウィル・オー
カーキ・サム
ヒミー・ウォン
ロッカー・ラム
原題『點五步』
2016年香港
上映時間95分
日本語字幕:小木曽三希子/字幕協力:cinema drifters
配給:サロンジャパン
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公式サイト:https://www.salonfilmsjp.com/saisho-no-hanpo
持有淑子(もちありとしこ)
フリーライター/翻訳
香港が好きで、返還前・返還後の両方で在住経験あり。香港をはじめ中華圏の映画・ドラマ、欧米の映画・ドラマ、観劇も好き。共著「香港電影城」シリーズ。時々香港へ行って映画を見るのが楽しみ。




