ずっと気になっていた『女、ふたり暮らしています。』を読みました。
本作は韓国の人気コピーライターのキム・ハナと元ファッション誌編集者・ファン・ソヌの共同生活を書いたエッセイです。よくあるシェアハウスではなく、一緒にローンを組んでマンションを購入することになった経緯やその後の暮らしぶりがリアルに書かれています。
互いにやりがいのある仕事に就き、ひとり暮らしをしてきた二人ですが、四十代を目前にして周りからの結婚や「この先どうする?」のプレッシャーを避け、理想の家に住むために一緒に暮らし始めます。
本作でいちばん「やっぱり」と感じたのは、気の合う女友達同士ても同居するとなると結婚生活と同じトラブルが起きること。
一緒に暮らすまではわからなかった所有する物の選別、部屋の片づけ方、家での過ごし方などについて考え方の違いが明らかになり軋轢が生まれるのですが、これは夫婦でも同じこと。
ちなみに些細なことですが個人的にいまだに夫と攻防戦を続けているのが“密封” 私はポテチやお煎餅は湿気を、ハムなどは乾燥を防ぐため袋の口をしっかりクリップで止める密封主義です。ところが夫は結婚するまで気にしなかった人。私がうるさく言うようになって、袋の口を止めるようになりましたがやり方がものすごく甘い。いまだ真ん中を止めて両端は開いてることもあり「舐めてんのんか!」と関西弁でキレたくなります。
結婚でも女友達との同居でもイライラするような問題が発生するとしたら、やっぱり阿佐ヶ谷姉妹のライフスタイルが最高だと思いました。
阿佐ヶ谷姉妹はアパート同居を経て今は隣同士の部屋に住んでいます。同居のときは、ハナとソヌのようなトラブルでケンカもあったとか。
それはふたりのエッセイをドラマ化した『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(NHK)でも描かれています。
仲のいい女友達が集まって一棟のマンションで暮らすのが理想という説もありますが、人数が増えると派閥などができて煩わしいことも増えそう。
最近、バズった@dada_mag7さんのツイートに
“誰と女子会しても「結婚したい」っていう話題はほとんど出ないけど、「阿佐ヶ谷姉妹みたいに、女友達と同じマンションの隣同士に住みたい」っていう話題は必ず出るので、やっぱりみんなあの生活憧れるよね〜と思ってる”
がありました。
Twitter界で繰り広げられる夫のモラハラやDVの告発。そのとんでもなさを知るたびに、結婚のリスクを痛感する人も多いはず。
最小単位の気の合うふたりで隣同士に住むのは何かあっても心強い。ひとり暮らしで適度な距離をとって生活習慣の違いを気にせず、ふたりで楽しむのはアラフォー・シングルの正しい「解」ではないかと思います。
そう、阿佐ヶ谷姉妹、最強です。
村上淳子(海外ドラマ評論家/映画ジャーナリスト)